本多孝好著・MOMENTの読中感想


今日は本多孝好著のMOMENTを読んだ。とは言っても全てではなく半分の2章。昨日はほのぼのとした作品(米澤穂信著「氷菓」)だったのに対して、今回は死をテーマにした少し重たい作品だ。

死をテーマにした作品は多数ある。明るいものから暗いものまで。このMOMENTは想像以上に暗いものだった。暗くとも後味の良い物語ならいいのだが、少なくとも1章は後味の良いといえるものではなかった。

本多孝好氏とは「真夜中の五分前」という小説で出会っていた。読んだのは数年前なので詳細まで覚えていないが、これもキレイなハッピーエンドではなかった。昨日、こちらもキレイなハッピーエンドをあまり読んだことがなかった米澤穂信氏が書いた「氷菓」を読んだのだが、こちらはほのぼのとした物語だったので完全に油断していたので不意をつかれた。

決して後味が良いとはいえず、死の淵にはお涙ちょうだいがパターンだという私の常識は完全に覆されることになった。たとえ死の淵だろうとその人の人格は変わらない。鬼のような性格の人は最後まで鬼の性格を貫いて死んでいくのだ。

小説やフィクションの上では、性格が悪いと思われる登場人物だが、実社会ではこういった人達の方が普通なのかもしれない。天寿を全うして死んでいくのではないのだから、尚更このような気持ちになるのだろう。

病気で亡くなる人達は後々、美談で語られることが多い。しかし、入院生活が長く末期の病気で亡くなる方のその多くは何かしらの怨みや嫉妬といった気持ちがないわけではないだろう。特に2章の少女に関しては病気さえなければ可愛らしい子供だったと思う。あの復讐を除けば、性格もよく礼儀正しい性格の女の子に育っていたことだろう。しかし、長い入院生活と先が長くないという事実が彼女を多少なりとも歪めてしまったのかもしれない。

小説の内容とはズレるが、最近、どこかヨーロッパの国だったと思うが尊厳死を認められていないがために、全身麻痺でも死ぬことが出来ず、最後には病院食を食べずに餓死したというニュースがあった。他人が人の命に終わりを告げていいのかは私には分からない。織田裕二主演のドラマ「振り返れば奴がいる」でも尊厳死についての回があったが、当時の日本での反響や世論はどうだったのだろうか。

環境が人を歪ませる。もちろん最初の章のお爺さんは病院生活のせいではないのだろうが、それでも目的なき延命治療は決して美談として語ってはいけないと私は感じた。

2012年8月26日 投稿:エイドギース




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